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未来の戦いのために次なる一手を打ち続ける――【クリー人 KREE】#4

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  異星国家・クリー帝国は1967年の『Fantastic Four #64』に初めて登場しました。南海の孤島の地下に、太古に建造されたクリー人の基地が隠されていたのです。


 ファンタスティック・フォーは基地を守護する巨大ロボット「セントリー」と戦いました。情報はクリー本国に送信され、『#65』でクリーを支配する巨大生体頭脳「スプリーム・インテリジェンス」の指令のもと、クリーの司政官「告発者ロナン」が調査のため差し向けられます。

 

 ロナンはファンタスティック・フォーと交戦後に撤退しますが、これよりクリー帝国が地球に本格的に干渉を開始します。

 

キャプテン・マーベルの誕生


 同年の『MARVEL SUPER-HEROES #12』にて、クリーの潜入工作員が地球へ送り込まれます。この作戦の指揮官ヨン・ログ大佐は悪辣な上司で、潜入させた部下マー・ベル大尉を任務中に始末しようと画策。この回で、クリー帝国は階級のある軍事国家であることが判ります。

 

 マー・ベルは米軍基地に潜入し、そこでキャロル・ダンバースという女性と出会いますが、基地で調査されていたセントリーがヨン・ログにより起動され、襲いかかってきます。なんとかセントリーを倒したマー・ベルは裏切られたと知ってクリー軍を離れ、地球や宇宙の平和を守るヒーロー「キャプテン・マーベル」となって活躍しはじめます。1968年の『CAPTAIN MARVEL #2-3』ではスーパースクラルと対決、ここでクリー人とスクラル人が長きに渡り戦争を繰り広げてきた歴史が語られました。

 

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 1971年からの『AVENGERS #89-97クリー・スクラル・ウォー』では両者の宇宙戦争が勃発。この話ではクリーの軍用超通信装置「オムニ・ウェーブ・プロジェクター」をスクラル側が奪取できるかが戦略のポイントであり、ここから科学設備の少なくとも一部はスクラルをも上回る技術を持っていることが判ります。また、クリー人は、太古に将来の尖兵とするため地球人を改良した種族・インヒューマンズを利用しようとしますが、アベンジャーズの活躍で阻止されます。


この戦争は告発者ロナンの暴走により引き起こされたものでしたが、クリーを指導するスプリーム・インテリジェンスは地球人の少年リック・ジョーンズの潜在的な超能力を発動させることで戦争を終結させます。セントリーやインヒューマンズから判る通り、クリー人は驚くほど長期計画・広範囲に戦争の準備をし続けているのです。

 

(クリー人と戦争を続けるスクラル人についてはこちらの記事もチェック!)

 

sfgeneration.hatenablog.com

 

 

クリー人が最強の種族となったきっかけとは?


 『AVENGERS #129』から始まる『セレスシャル・マドンナ・サーガ』は宇宙の救世主を産む運命の女性セレスシャル・マドンナを探す展開でしたが、セレスシャル・マドンナだと判明したマンティスが『AVENGERS #133』(1975年3月号)にてその系譜を知るため時間転移します。


 太古の昔、大マゼラン雲にある惑星ハラには蛮族・クリー人と植物人・コタティ人がいました。そこへスクラル人が飛来し、二つの原住種族を競わせ、選ばれた方に自分たちの科学をもたらして交流しようと申し出ました。クリー人とコタティ人はランダムに選ばれた太陽系地球の月に転移され、何もない月面をどんな環境に変えるかを競わされます。

 

クリー人は懸命に働き大都市を建造しました(これが『Fantastic Four #13』でウォッチャーという宇宙観察種族が住むエリアとなります)が、スクラル皇帝は大森林を作ったコタティ人を選びました。怒ったクリー人はコタティ人を虐殺、勝手な判定を行ったスクラル人も攻撃します。これをきっかけにクリー人はスクラル人に対抗できる科学・軍備を急速に発展させ、ついには宇宙列強種族にまで登りつめ、以後何度もスクラル人と大戦争を繰り返すことになりました。一方、クリー人の一部の穏健派はコタティ人の生き残りの植物と共に地球へ逃れ、後にマンティスと関わることになるのです。

 

何度やられても立ち上がる、クリー人の底力を見よ!


 1992年の『オペレーション:ギャラクティック・ストーム』では、クリー帝国とシャイア帝国で戦争が勃発。シャイア帝国はタイタン星にある故キャプテン・マーベルの墓から盗み出したネガバンドと、地球のクリー基地から奪取したサイコマグニトロンを組み合わせ、星系破壊爆弾ネガボムを製造。ネガボムは漁夫の利を狙うスクラル人に奪われ、クリーの星系を吹き飛ばし98%のクリー人が抹殺されます

 

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 しかしこれは、遺伝的に行き詰まっているクリー人を淘汰し新たな変異を求めるスプリーム・インテリジェンスの計画のうちだったのです(!)。このようにスプリーム・インテリジェンスは目先の勝敗を度外視してでも未来のクリー人の発展をもたらす異常な手を打ってくるので非常に厄介です。

 

 2000年の『マキシマム・セキュリティ』では星間国家をまとめる銀河評議会が、謎のルウル人の暗躍により地球を流刑惑星にすることを決定してしまいます。実はこの事件も、「フォーエバークリスタル」というコズミックアイテムを使ってクリー人の遺伝変異をさらに加速させ、ルウル人を生み出したスプリーム・インテリジェンスの計画でしたが、USエージェントをはじめとするヒーローたちの活躍で失敗に終わります。

 

 2006年からの『アニヒレーション』では反次元ネガティブゾーンからアニヒラスの大軍勢がこちらの次元へ侵攻、告発者ロナンと配下のクリー軍は反抗作戦を立ち上げ大活躍しました。しかし、続く『アニヒレーション:コンクエスト』ではクリー人は機械生命体ファランクスに融合され乗っ取られてしまい、ロナンは祖国を取り戻すため尽力し逆襲。最終的にクリー人は解放されますが、国力が大幅に低下してしまいます
 
2008年からの『ウォー・オブ・キングス』ではロナンはクリー帝国を立て直すため、太古にクリーが造りだしたインヒューマンズを支配者に迎え、王族のクリスタルと婚姻。これは政略結婚ですが、意外にロナンがクリスタルを気づかっていたのが印象的でした。復興したクリーはシャイア帝国を打倒し再出発します。

 

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 2015年からの『ブラック・ボーテックス』では、謎の人物ミスター・ナイフ(実はスターロードの父)が持っていた超パワーアップアイテム「ブラック・ボーテックス」を一時はロナンが入手するものの逆襲され、この戦いで惑星ハラが破壊されてしまいます。
 
2018年からの『DEATH OF INHUMANS』では、クリー帝国がインヒューマンズを支配しようと改造インヒューマン「ヴォックス」を製造し差し向けたことで両者は完全に決裂、クリー帝国はまたも甚大な被害を受けることになりました。

 

しかしこれまでも何度も激動を乗り越え復興してきたクリーのこと、再び強大な国家として立ち上がってくることでしょう

 

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