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鷹のおまわりさん! 警察国家ならぬ警察星系【サナガー人 THANAGARIAN】#3

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サナガー星は、地球から433光年離れた北極星ポラリスの惑星です。サナガー星の科学技術は、フィクションに出てくる標準的な宇宙人、つまり超光速航行を実現していて宇宙艇で地球まであっという間に来てしまうほど。

 

初登場は1961年2-3月号『THE BRAVE AND THE BOLD #34』、サナガー星の犯罪者・ビスを追って、地球まで二人の警官がやって来ました。日本特撮で言えばウルトラマンとか宇宙刑事のような設定ですね。

 

地球人の身分を借りて、犯罪者を追いかける

 

カター・ホル(KATAR HOL)という男性警官とシャエラ・ホル(SHAYERA HOL)という女性警官は夫婦で、地球の博物館の館長夫妻、カーター・ホール(CARTER HALL)シーラ・ホール(SHIERA HALL)という仮の身分を得て犯罪者を追いかけます。

 

サナガー人は外見上地球人との違いはありませんが、警察の制服は鷹のマスク、反重力ベルトと背中の翼という、地球の基準からすると奇妙なものです。武装は、変身能力者ビスにサナガー星の武器が通じないため、博物館に展示されている地球の古代武器を使用。これで偶然にも(笑)1940年1月号『FLASH COMICS #1』で登場していた地球のヒーロー、ホークマン(古代エジプトのクフ王の転生)とほぼ同じになり、カターとシャエラもホークマン&ホークガールとして地球で活動を開始しました。

 

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ビスを捕らえた後も、地球の警察の手法を研究するために二人は地球に残り活躍を続けます。『THE BRAVE AND THE BOLD #42』では二人はサナガー星に里帰りし、脱走したビスを捕らえるため地球で学んだ手法を活用します。また、「MYSTERY IN SPACE誌」で惑星ラーンの守護者アダム・ストレンジと共演。サナガー星とラーン星はこのあと数度に渡り戦争状態になりましたが、彼らヒーローたちの努力により解決しています。ラーン・サナガー戦争については、今後ラーン人の回で詳しく紹介したいと思います。

 

物語は一転、新シリーズで設定が変わったサナガー星


宇宙人なのにクラシックな外見だったサナガー人のホークマンですが、1989年の『HAWKWORLD』ミニシリーズにてリニューアルされました。それまでは空飛ぶ警官隊によって秩序が保たれており、発展している星だったサナガー星は、雑然として貧民も多い過酷な惑星に変わりました。

 

警官たちも、輝かしい空の守護者から、よりリアルにハードになり、軍隊のように戦闘ヘリや攻撃機を使い、マシンガンやライフルなどの銃器で武装し、直線的な金属翼で飛ぶコスチュームとなりました。過去の偉人カルモランを尊敬し人の命を守ろうとする主人公カターはこの世界では異端児で、荒っぽい警察が暴力で統治しています。

 

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腐敗しきった社会、暗躍する悪というドロドロした世界観が描かれ、陰謀により自らの手で父を殺してしまったカターは上司ビスに追放されますが、放浪の末、師を得て再起します。ビスを追い詰めるカターですが、警官になっていた恋人シャエラが殺人を止めます。このあと二人はビスを追って地球へ。しかし連載が続く間にホークマンの設定は複雑化し……最終的には打ち切られ、キャラクターも消滅してしまいます。


健在だったサナガー星、世界観がさらに広がる


2002年に復活した『HAWKMAN Vol.4』シリーズでは、最初のホークマンが転生キャラだったことを活かし、ホークマン=地球人のカーター・ホールということにしつつ、宇宙人カター・ホルだった頃の意識や装備(宇宙船など)も併せ持たせて、これまでのキャラクターを統合することに成功しました。このシリーズの『#15-17』ではサナガー星警察のホークウーマンことシャエラ・サルが登場し、カターの記憶も持っているカーターの協力を得て仇敵ビスを倒しサナガー星へ帰還するなど、サナガー星が健在であることを示しました。

そのあと2011年にDCユニバースの世界はリランチされ、ホークマンの世界も再び改訂。現在連載中の『HAWKMAN Vol.5』では、魔術師マダム・ザナドゥの力を借り、ホークマン=カーター・ホールが様々な時代・星系へ飛び、自分の転生体たちに会うという展開をしていきました。

 

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『#4』では過去のサナガー星でカター・ホルに会い、ビスの変身と誤解され戦いになります。飛行車、目も眩むような大都市、巨大なビルディング、沢山の輝く看板、雨の中で傘を差して歩く庶民、浮遊島など、最新バージョンのサナガー星が描かれました。そして『#7』、はるか太古のサナガー星に死屍累々が広がり背後に巨大人型兵器軍団が立つなか、虐殺を行ったクターイダムという男たちが登場。二人は異星の神の使徒デスブリンガーズとして様々な惑星で生贄を集めていました。

 

クターは苦悩の末に反逆し、イダムや神を倒しますが、自らも胸を貫かれます。死の間際、クターは神の呪いによって永遠に生まれ変わり続けることになり、現在のホークマンへとつながる転生の原因が明かされたのです。『#8-12』では復活したイダムとデスブリンガーズが地球へ襲来し大ピンチとなりますが、カーター・ホールの歴代転生体が全員召喚される(!)という超展開で大反撃のうえ解決するのでした。

 

おわりに


長い時間のなかずいぶん様変わりした世界観ですが、時代や作り手によって新たな要素が加わっていき深みが増していくのも アメコミの醍醐味だと思います。

 

 

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