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若手向けのSF情報同人誌『SFG』を発行しています。webではSFに関する話題やイベント情報などを発信していきます。

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アンドロイド戦争の真実を知るための旅に出る―杉村修『始まりのフェルメイユ』

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今回のお盆休みは9連休となった人も多いのではないでしょうか。
長い休みはどこかに行きたくなるもの。旅行に出られた人も、そうでない人も、旅の物語を読んでいただきたいと思います。

 

お盆明けは、『SFG』にも参加していただいている杉村修さんの『始まりのフェルメイユ』を紹介します。


旅の始まりには、アンドロイドがあった

 

人間とアンドロイドの戦争が終わり、気が遠くなるほどの時間が経った世界。カメラマンのドレ・リクサーはフェルメイユ行きの汽車に乗って、千年もの間、旅を続けてきました。

 

表向きには資源の発見により戦争は終結しましたが、実際はそれだけではないはず。「アンドロイド戦争」と呼ばれるこの戦争の終わり方に疑問を感じていたドレは、戦争を終わらせたとされる町・フェルメイユを目指します。死んでいった友人たちとの最後の約束を果たすための旅路で、ドレは人間とアンドロイドの在り方について考えていきます。

 

本作は、人間とアンドロイドが同じ世界を生きているわけですが、戦争終結後から、人間が生身の身体でいることを止め、機械に身体を置き換えるようになってきました。身体の60パーセント以上を機械化した人間をアンドロイドと呼ぶようになったのですが、今やほとんどの人間が元人間となり、アンドロイドとなった世界です。

 

世界観を広げる旅での出会い

 

いわゆるロードノベルという形で進む本作では、様々な街を巡って物語が展開します。遠未来という設定を活かして自動化が進んだ街や、空中都市など、いろいろな街を訪れていきます。

 

彼の旅は、人間とアンドロイドの戦争に端を発します。戦争に従事した主人公は、アンドロイドの攻撃を受けて友人を失い、自身も眼を失って義眼となりました。そのせいで、彼はアンドロイドに良い感情を頂いていませんでしたが、旅の中で様々なアンドロイドと出会い、少しずつ変化していきます。

 

物語を彩るキャラクターたち

 

さて、そんなドレの旅を共にするのは二人の女性たち。ドレの恋人でもあるニーナは、もう数百年にも渡って旅を続けている。見た目に似つかわず戦闘能力にも長け、ドレを窮地から救うこともしばしば。
そんな彼女の出自は物語が進むにつれ明らかになっていき、やがてドレの旅のきっかけとなったフェルメイユに行きつくのです。

 

もう一人は、旅の途中に出会ったアリス。初めての出会いではニーナを狙ってドレを襲うも失敗。その後、テロリストに捕まったアリスを助けたことで、旅に同行することになります。
アリスに謎の対抗心を燃やすニーナでしたが、すぐに仲良くなり旅の一員に加わりました。

 

その他にも、街を訪れれば出会う人々の数々。その数だけドラマが生まれるのでした。

 


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