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【恐竜SFレビュー#19】ザ・ドラえもんズVS恐竜軍団

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恐竜SF紹介コラムの第19号では、ドラえもんの外伝漫画『ザ・ドラえもんズ』4巻を紹介する。本作に収録されてる連作エピソード「ロストワールド」はのび太とドラえもん、さらにドラえもんの親友たち、「ザ・ドラえもんズ」が、恐竜の生息する島・ロストワールドを冒険する漫画である。

 

ザ・ドラえもんズとは?


最初に、ザ・ドラえもんズについて紹介しよう。
ザ・ドラえもんズは、ドラえもんと同型のネコ型ロボットのチームで、ドラえもんとはロボット養成学校の同期であり、親友でもある。


ザ・ドラえもんズのメンバーはご存じドラえもんのほか、空気砲の射撃が得意な保安官ドラ・ザ・キッド、拳法の達人である王ドラ、サッカー好きのドラリーニョ、丸いものを見ると狼に変身するドラニコフ、闘牛士のエル・マタドーラ、巨大化できるが水が苦手なドラメッド三世で、ドラえもん以外のメンバーはそれぞれが活躍する国をモチーフにしたキャラクターとなっている。


初登場はドラえもんの誕生秘話を描いた映画『2112年 ドラえもん誕生』であり、その後ゲームソフトや彼らが主人公の映画が計7作製作された。漫画は3作刊行されており、映画のコミック版やロボット養成学校を舞台にした『ドラえもんゲームコミック ザ・ドラえもんズ』、ドラえもんやひみつ道具を紹介する『最新ドラえもんひみつ百科』、そして今回紹介する『ザ・ドラえもんズ スペシャル』である。

 

やっぱりこの島にまちがいない!こここそロストワールドなんだ!! Byのび太

 

物語は老博士がジャングルの中を必死で走り、伝書鳩を逃がすところから始まる。

のび太とドラえもんは台風が過ぎた後、怪我をしている伝書鳩を見つけた。伝書鳩にはフィルムが付けられており、フィルムを現像すると恐竜が写っていた。フィルムにSOSの文字が刻まれていたため、のび太、ドラえもんはザ・ドラえもんズのメンバーと共にSOSを出した人物を探しに向かった。

伝書鳩は台風に運ばれたという王ドラの推察から、のび太とザ・ドラえもんズの面々は台風の通り道に向かうが、そこで竜巻に巻き込まれてしまった。王ドラがひみつ道具、ねじ式台風(台風を作り出す機械)を使って竜巻を相殺し、一行は火山島に到着する。その島には恐竜の足跡があり、少女がティラノサウルスに襲われていた。

 

ここ、「ロストワールド」はクローン恐竜を作るための島だったのか!! Byのび太

 

ドラリーニョがサッカーの腕前でマスタード(ドラ・ザ・キッドがどら焼きにかける用のマスタード)をティラノサウルスの口に蹴飛ばしてひるませ、その隙に少女を連れて逃げ出したものの、助けた少女・ウノには名前以外の記憶がなかった。

 

仕方なくロストワールドを探索するのび太とザ・ドラえもんズだったが、ウノと行動するようになってから恐竜に襲撃されることが多くなった。さらに、ウノによく似た少女がトリケラトプスを笛で操っていたところを目撃してしまう。ザ・ドラえもんズの面々はウノに不信感を募らせていくが、そんな中ドラリーニョだけはウノを信じていた。


のび太、ザ・ドラえもんズがウノを追いかけて洞窟に入っていくと、その中には秘密の通路が隠されていた。その通路を抜けたのび太たちは、カプセルに入っている複数のウノを発見し、22世紀の未来から来た生物学者を名乗る老博士に出会う。彼こそが伝書鳩で助けを求めた人物であった。

 

彼はのび太にロストワールドの真相を打ち明け、カプセルに入っている少女、ウノは死んでしまった娘のクローンだと判明する。ウノとはクローン第1号(ウノ=数字の1)を意味していたのだった。

22世紀では生物のクローンを作ることが禁じられているが、娘を蘇らせたかった彼は資金と施設の提供を申し出たゾロの名乗る男の誘いに乗ってウノを生み出した。しかし、ゾロの目的は生物学者のクローン技術を悪用して恐竜を復活させることにあった。ゾロは、クローン技術がまだ規制されていない20世紀の無人島に恐竜のクローン工場を作り、生物学者の娘のクローンを洗脳して従えていた。島で恐竜をけしかけたのもウノではなく、クローンの仕業だった。

 

ゾロの真の狙いは、島ごと中生代にタイムスリップさせることにあった。クローン恐竜を操って哺乳類を滅ぼし、哺乳類の代わりに恐竜が支配する世界を作る「ディノサウロイド計画」を目論んでいたのだ。のび太とザ・ドラえもんズはゾロの計画を阻止することが出来るのか? クローンとして生み出されたウノ達の行方はどうなるのか?
その答えは是非ともご自身で読んでいただきたい。

 

本作のエピソード「ロストワールド」ではのび太とザ・ドラえもんズの面々が、恐竜の生息するロストワールドを訪れて人類滅亡を目論む黒幕と戦いを繰り広げる。その一方で、ドラリーニョとクローン少女・ウノとの淡い交流も描かれている。最後には二人が別れる切ない展開となっているが、その絆は1億5000万年の時を超えても続いていく。

 

本作は藤子・F・不二雄自身が描いた作品ではないザ・ドラえもんズ主役の漫画と外伝的な作品である。スペシャル版は「ロストワールド」のように、シリアスな連作エピソードと1話完結エピソードの2種類が収録されている特徴がある。
4巻にはロストワールドのエピソード以外にも、のび太とドラ・ザ・キッドが西部劇の世界に迷い込む「荒野のガンマン」、のび太が桃源郷に行く壺を使う「桃源壺」などの1話完結エピソードが収録されている。
他の巻に収録されている連作エピソードには、クレオパトラが太陽系に存在した第五惑星の生き残りと判明する「クレオパトラの眠り」、氷河期に眠りについたはずの爬虫類人が目覚めてタイタニック号を襲撃する「伝説の豪華客船」など、ハードSFさながらの展開の作品がある。

 

本作で登場する恐竜にはゾロ配下のクローン恐竜として、ティラノサウルストリケラトプスディノニクスアンキロサウルスパキファロサウルスや、のび太が助けたことがきっかけで味方となったプテラノドンも登場している。
恐竜ではないが、本エピソードの黒幕ゾロは恐竜と融合した恐竜人としてザ・ドラえもんズたちの前に立ちはだかる。恐竜人と言っても『のび太と竜の騎士』に登場するような二足歩行の恐竜人ではなく、ティラノサウルスの腹に顔面が付いた奇怪な容姿となっている。

 

2005年に『ドラえもん』のアニメがリニューアルされたことに伴い、存在が実質なかったことにされている(!)ザ・ドラえもんズであるが、これを読むとザ・ドラえもんズが存在したことを思い出させてくれる。

 

作品情報

 

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書名:「ロストワールド」(『ザ・ドラえもんズ スペシャル4』収録)
原案:藤子・F・不二雄
シナリオ:宮崎まさる
作画:三谷幸広
出版社:小学館