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地球に来ればみなスーパーマン――【クリプトン人 KRYPTONIAN】

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 誰もが知っているヒーロー、実は宇宙人だった!?

アメコミファンのアメコマー菅野と申します。縁あって「アメコミに登場する宇宙人」について記事を書かせていただく事になりました。第1回はアメコミで一番有名な宇宙人こと、クリプトン人について紹介しましょう。「クリプトン人?知らないよ」という人も、スーパーマンといえば分かるのではないでしょうか。

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故郷の星を失ったスーパーマンは、地球で育てられた

スーパーマンは、初登場の『ACTION COMICS #1』(1938年6月号)の冒頭で、消滅した別の惑星から来たと語られている、れっきとした宇宙人なのです。後に惑星クリプトンと呼ばれる彼の母星は物語の開始前に滅んでしまっており、ロケットで地球へ送られた赤子(クリプトン名:カル・エル)は、地球人クラーク・ケントとして育てられ、スーパーマンとして活躍することになります。『火星シリーズ』(エドガー・ライス・バローズ)のように、「異星へ行けば超人」パターンの設定ですね。

 

始めのうちは、彼と同族のクリプトン人はなかなか登場しませんでしたが、母親のララ、父親のジョー・エルが過去話で登場。従妹のカーラ・ゾー=エルは『ACTION COMICS #232』(1959年5月号)で登場し、スーパーマンとは別に脱出して地球に到達し、スーパーガールとして活躍します。クリプトン人は家名を誇りとして重んじています。スーパーマンたちの胸のマークはアルファベットのSではなく、エル家の紋章です。このあたりに、彼らの矜持が感じられますね。また、ダグザム星に植民したクリプトン人の分派はダグザム人と呼ばれ、クリプトン人と同様の力を持ちます。

 

驚くべきことに、クリプトン人は別の恒星系の生物とは思えないほど、地球人とほぼ同じ生物学的特徴を有しています。ラリイ・ニーヴンが「スーパーマンの子孫存続に関する考察」(短編集『無常の月』収録)で心配していたのとは異なり、地球人との生殖も普通に可能で、話によってはロイス・レーンや他の女性と子供をもうけている展開もあります。 

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 地球の太陽を浴びると能力が開花する

クリプトン人が地球人と異なるのは基本的に2つ。1つは、地球の太陽のような黄色太陽光を浴びると「超怪力」「超耐久力」「超高速」「超視力」「飛行能力」などが発現する、つまりスーパーマンの能力を得ること。不思議なことに、惑星クリプトンの恒星は赤色太陽なので、彼らは母星では普通の地球人と同じ能力しか持たないのです。逆に、どのクリプトン人でも地球に行けば超人になります。クリプトン人の体内にチャージされた黄色太陽光のエネルギーは一晩ぐらいではパワーダウンしませんが、何日も黄色太陽光を浴びない状況や、人工的に赤色光を浴びせ続けると、普通の人並みの能力になってしまいます。

 

もう1つの違いは、惑星クリプトンの核を構成するクリプトナイトという物質の放射線を浴びると致命的な症状が現れること。クリプトナイトは惑星クリプトンの爆発により宇宙にばらまかれた結果、地球にもかなりの数が飛来しており、スーパーマンを含むクリプトン人の弱点となります。

 

クリプトン人は地球人を上回る科学力を持っており、生体兵器やロボット兵器を製作できるほどですが、宇宙航行だけは他の宇宙人ほど発達していません。そのためほとんどのクリプトン人が惑星クリプトンの崩壊と運命を共にしました。しかし例外はあります。『ACTION COMICS #242』(1958年7月号)で初登場した超頭脳怪人ブレイニアックは、クリプトンの都市キャンダー・シティを縮小化しボトルに納めて強奪しており、その中には縮小化されたクリプトン人たちが生き残っています。

 

スーパーガールやキャンダー・シティを創作したのは、イアンド・バインダーの筆名で『ロボット市民』などを兄弟で書いた、SF作家のオットー・バインダーです。スーパーマンは長年キャンダー・シティを解放しようと努力し続けましたがうまくいかず、住人は捕囚の憂き目にあっていました。それが、2008~2009年に展開した「ニュークリプトン編」では、ついに解放されたクリプトン人たちが地球に強制移民するのか?という問題が描かれました。彼らはもちろん地球では一人一人がスーパーマン並みの力を持つため、スーパーマンを一時は殺したこともある強力な怪物ドゥームズディ(こいつも元はと言えばクリプトンの科学の産物)を集団でボコ殴りにして、あっという間に倒してしまうという脅威を見せつけました。

 

また、惑星クリプトンでは重罪人を停滞空間・ファントムゾーンに幽閉する刑に処していたと『ADVENTURE COMICS #283』(1961年4月号)で描かれ、そのためクリプトン星が滅びた後も重罪人だけがファントムゾーンで生き残っており、タカ派軍人のゾッド将軍などが敵としてたびたびスーパーマンの前に立ちふさがります。スーパーマンと同等の能力を持つ強敵を出せる素晴らしい設定ですね。

 

なんと、2018年に始まったTVドラマ「クリプトン」では消滅する前の過去の惑星クリプトンが舞台となっており、カル・エルの祖父セグ・エルが主人公で他のクリプトン人も多数登場する注目の作品です。2019年4月に日本でもDVDやブルーレイが発売されています。私も見るのを楽しみにしています。

 

 おわりに

クリプトン人は、スーパーマンが有名なためメジャーな存在にも思えますが、惑星も滅んでいますし、宇宙的には絶滅危惧種。大切に保護する気持ちで物語を楽しんでいきたいところです。

 

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